離婚後はどんな手続きが必要? 役所での戸籍変更などの流れや申請方法や注意点を紹介
離婚後に役所で必要な手続きは?
離婚後に役所で行う必要手続きを順番にご説明します。
住民票の変更|戸籍課・住民課
離婚後に住所が変わる場合は、住民票の異動手続きを行います。住民票の異動手続きは、新しい住所が同じ市区町村なのか、それとも別の市区町村なのかによって手続きが異なりますので、以下を参考にしてください。引っ越さない場合でも、世帯主が元配偶者から自分に変更になる場合は、世帯主の変更手続きを行う必要があります。
同じ市区町村内に引っ越す場合|転居届
【持参するもの】
・本人確認書類
・印鑑
今住んでいる市区町村の役所に「転居届」を提出します。役所で「住民異動届」をもらい、「転居届」にチェックを入れ必要項目を記入します。転居届は、引っ越しした日から14日以内に提出する必要があります。
別の市区町村に引っ越す場合
【持参するもの】
・本人確認書類
・印鑑
今まで住んでいた市区町村の役所に「転出届」を提出し、引っ越し先の市区町村で「転入届」を提出します。具体的には、「住民異動届」の「転出届」にチェック入れ必要項目を記入した後、今まで住んでいた市区町村の役所に提出し、「転出証明書」をもらいます。引っ越し後、引っ越し先の市区町村で「住民異動届」をもらい、「転入届」にチェックを入れ必要項目を記入し、「転出証明書」とともに「転入届」を提出します。転入届も、引っ越しした日から14日以内に提出しなければなりません。
引っ越ししないが世帯主の変更が必要な場合|世帯主の変更
【持参するもの】
・本人確認書類
・印鑑
離婚後、自分は今住んでいる家にとどまり、元配偶者が出ていく場合、もともと自分が世帯主だった場合は住民票の異動手続きをする必要ありませんが、世帯主が元配偶者だった場合には世帯主変更の手続きが必要になります。
公的身分証の変更|戸籍課・住民課
【持参するもの】
・マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、住民基本台帳カード
・本人確認書類
・印鑑
離婚により住所や氏名に変更があった場合は、マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、住民基本台帳カードの変更手続きが必要です。転居届・転入届の提出期限である14日以内に、あわせて役所で手続きを行いましょう。
印鑑登録の変更|戸籍課・住民課
【持参するもの】
・印鑑登録カード
・新しく登録する印鑑
・本人確認書類
離婚後旧姓に戻り、姓・住所・印鑑が変更になる場合、新たに印鑑登録し直す必要があります。離婚後に姓が変わって、住民票の姓と登録している印鑑の姓が相違すると、自動的に今まで登録していた印鑑登録が失効してしまうからです。
また、離婚後に姓が変わらない場合も、別の市区町村に引っ越す場合には手続きが必要です。今まで住んでいた市区町村の役所で「印鑑登録廃止申請書」を提出して登録を廃止し、転入先の市区町村の役所に「印鑑登録申請書」を提出します。姓が変わらず、引越し後の住所が同一市区町村内である場合は、役所に転居届を提出すると同時に印鑑登録の住所も変更してもらえるので、新たに印鑑登録をする必要はありません。
たいていの手続きは認印での押印で問題ない場合が多いですが、自動車の名義変更など、必ず実印が必要となる重要な手続きもあります。忘れずに印鑑登録の手続きを行っておくことをおすすめします。
国民健康保険の加入|健康保険課
【持参するもの】
・資格喪失証明書(※元配偶者の会社に連絡して発行してもらう)
・マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード
・国民健康保険証(※国民健康保険に入っていた場合)
離婚前に専業主婦だった場合、または扶養の範囲内でパートとして働き、元配偶者の扶養に入っていた場合(元配偶者の会社の健康保険に入っていた場合)は、離婚と同時に保険の加入資格がなくなるので、国民健康保険の加入手続きが必要です。
元配偶者を世帯主とする国民健康保険に加入していた場合で、離婚後も引き続き国民健康保険に加入し続けるのであれば、自分を世帯主とする「世帯主の変更の手続き」を行います。離婚後に引っ越しする場合は、元の住所があった市区町村の役所で一度国民健康保険の脱退手続きを行い、新しい住所のある市区町村の役所で新たに国民健康保険に加入し直します。この場合、子供についても忘れずに加入手続きを行いましょう。
国民健康保険加入の手続き期限は、扶養を外れた日から14日以内です。万が一の病気や事故に備え、保険の未加入時期ができないように離婚後速やかに手続きしましょう。なお、すでに自分が働いていて勤務先の健康保険に加入している場合、または新しく働き始めて勤務先の健康保険に加入する場合は、子供も自分の扶養家族として健康保険に加入できるのであれば、市区町村の役所で行う手続きはありません。
国民年金の変更|健康保険課・年金担当課
【持参するもの】
・資格喪失証明書(※元配偶者の会社に連絡して発行してもらう)
・年金手帳
健康保険と同様に、専業主婦や扶養内で働くパートで、元配偶者の厚生年金に入っていた場合は、離婚後に国民年金の種別変更手続きを行います。国民年金の加入も、扶養を外れた日から14日以内に行いましょう。
離婚に伴う年金手帳の住所変更や氏名変更は、基本的には役所で行いますが、マイナンバーと基礎年金番号が結びついているのであれば、原則として届出は不要になります。健康保険の場合と一緒で、自分自身で勤務先の厚生年金に入っている場合は、市区町村の役所で行う手続きはありません。なお、国民年金の加入手続きは年金事務所でもできますが、離婚後の他の手続きと一緒に役所で行った方が、効率良く済ませられます。
子供がいる場合はどんな手続きが必要?
離婚後、子供がいる場合に行う手続きは以下のようなものがあります。
役所や家庭裁判所で行う手続き
・児童手当の変更
・ひとり親手当の申請
・医療証の変更
・保険証の変更(※勤め先の健康保険に子供も加入させるのであれば、勤務先で手続きする)
・子供の姓と戸籍の変更
子供の姓と戸籍の変更に関しては、「離婚後も子供は元配偶者の姓を名乗る場合」「離婚後に子供も母親の旧姓に変更する場合」「離婚後に母親も子供も元配偶者の姓を名乗る場合」のそれぞれのケースで手続き場所や方法が異なります。
役所以外で行う手続き
・学資保険や任意保険の名義変更
・診察券の氏名変更
これらは、それぞれの保険会社や病院で忘れずに手続きを行ってください。役所で行う手続き以外は忘れてしまいがちなので気をつけましょう。
離婚後に必要なその他の手続きも忘れずに!
今までご紹介した他に必要となる手続きは以下の通りです。
運転免許証
【持参するもの】
・現在の運転免許証
・本籍が記載されている住民票
・本人確認書類
・印鑑
離婚して姓、本籍、住所が変わった場合、運転免許証の書き換えをする必要があります。運転免許証は、1点だけで本人確認書類として使えるものなので、新しい戸籍ができ次第なるべく早めに手続きを行いましょう。
保険証
自分が働いている場合は、離婚後、勤め先を通じて社会保険と厚生年金の氏名・住所変更手続きを行いましょう。たいていの場合は、勤め先の担当部署に連絡することで、勤め先が手続きを行ってくれます。離婚に伴い、元配偶者の健康保険から自分の健康保険に子供を加入させたい場合は、子供の保険証発行手続きもあわせて勤め先に依頼します。子供の姓が変わる場合は、氏名変更手続きが完了してから新しい保険証を発行してもらう点に注意しましょう。
パスポート
【持参するもの】
・離婚前のパスポート
・戸籍謄本
・写真1枚(縦45mm×横35mm、6ヶ月以内に撮影したもの)
パスポートは、離婚して姓、本籍の都道府県が変わった場合は変更する必要があります。なお、離婚後引っ越して、本籍は変更したが都道府県は変わらない場合や、同じ都道府県内での住所変更の場合は、手続きする必要はありません。子供のパスポートも一緒に手続きを行えば、必要書類の「戸籍謄本」が1通だけで済みます。パスポートはすぐに使うものではないかもしれませんが、運転免許証同様1通のみで本人確認書類として使えるものなので、早めに変更手続きを行った方がいいでしょう。
通帳
【持参するもの】
・通帳
・キャッシュカード
・旧姓の届出印
・新姓の届出印
・本人確認書類
離婚して通帳の氏名・住所に変更があった場合は、該当の金融機関で氏名・住所変更手続きを行います。通帳を旧姓のまま変更しないでいた場合、他者からの振り込みが正常に行われない、クレジットカードを作る際に審査に通らない可能性がある、などの弊害が生まれる可能性があります。離婚後速やかに手続きを行いましょう。
持参するものは、金融機関によって異なるため、事前に金融機関に確認することをおすすめします。基本的には金融機関窓口で変更手続きを行いますが、住所変更のみなら、インターネットバンキングを利用している場合、ネット上で変更手続きができる場合もあります。一度金融機関のHPで確認してみるといいでしょう。
クレジットカード
離婚して住所が変わった場合や、新しい姓になり引き落とし口座の名義が変更になった場合には、契約しているクレジットカードで登録情報を変更する必要があります。必要書類は、クレジットカード会社によって異なるので、それぞれのクレジットカード会社に確認してみましょう。
郵便物の転送
【持参するもの】
・本人確認書類
・旧住所が確認できる書類(運転免許証や住民票など)
離婚により引っ越す場合には、忘れずに郵便物の転送手続きを行いましょう。最寄りの郵便局に行けない場合は、ネット上で手続きを行うこともできます。
家や車の名義
離婚の財産分与で、元配偶者名義の家や車を自分が譲り受けることになったら、速やかに名義変更の手続きを行いましょう。名義を自分に変更をせず元配偶者のままにしておくと、元配偶者に勝手に家や車を売却されてしまうトラブルも起こりえます。不動産の移転登記手続きは、法務局でできるほか、司法書士に依頼する方法もあります。また、車の名義変更は、管轄の運輸支局で行うことができますよ。
必要書類は複数ありますが、注意しなければならないのは、元の名義人である元配偶者に準備してもらわなければならない書類が複数ある点です。たとえば家の名義変更の場合は「登記識別情報」「印鑑証明書」など、車の名義変更を自分が行う場合は、「旧所有者の印鑑証明」「委任状」「譲渡証書」などが該当します。離婚後トラブルとなる前に、元配偶者から必要書類を早めに受け取っておくことが大切です。
年金分割
【持参するもの】
・自分と元配偶者の年金手帳
・自分と元配偶者の戸籍謄本
・請求者の標準報酬額改定請求書(年金事務所や年金機構のHPから入手する)
・年金の按分割合がわかる書類(年金分割の合意書、年金分割について記載がある公正証書、調停調書、確定証明書など)
・本人確認書類
・印鑑
年金分割とは、婚姻中に元配偶者と自分が納付してきた年金保険料の納付記録を、不公平にならないように双方で分割する制度のことです。ここで、国民年金は年金分割の対象ではない点に注意が必要です。手続きには、双方の合意により分割する「合意分割」と、双方の合意なく一方的に分割できる「3号分割」があります。
離婚前に専業主婦だった場合、平成20年(2008年)4月以降の期間については「3号分割」が適用され、元配偶者か自分のどちらか一方が請求手続きを行うことで自動的に1/2の分割が行われます。平成20年(2008年)3月末までの期間については、双方で話し合い合意の上、2人で年金事務所に出向いて手続きを行います。つまり、平成20年4月以降の分については元配偶者の合意がなくても自動的に年金保険料納付記録が分割されますが、平成20年3月までの分については元配偶者との合意が必要で、もしも元配偶者が年金分割に同意しない場合には家庭裁判所に申し立てを行い、調停や審判の決定により年金分割が行われます。
年金分割の請求期限は、原則として離婚した日の翌日から2年以内なので、早めに手続きを行いましょう。
電気・ガス・水道の契約情報
離婚後、住所が変わる場合や、契約者名が変更になる場合、引き落とし口座やクレジットカード情報が変更になる場合には、電気・ガス・水道の契約情報の変更手続きが必要です。手続き方法は契約会社ごとに異なりますので、HPで確認するか、電話で問い合わせしてみましょう。
離婚を機に元配偶者も自分も今まで暮らしていた家を出る場合は、忘れずに電気・ガス・水道を止める手続きを行いましょう。
会社へ離婚したことを報告
離婚については会社に報告しづらい面もあると思いますが、離婚したことを報告しないままでいると、保険関係などで後々問題になってしまうおそれがあります。離婚はプライベートな事柄ではあるものの、社内手続きが必要となるケースが多いので、一般的には会社への報告が必要となります。離婚が決まり次第、できるだけ早めに会社へ離婚の報告を済ませましょう。
離婚後の手続きをスムーズに行うポイント
離婚後、多くの手続きを漏れなくスムーズに行うためのポイントをお伝えします。
役所で行える手続きから済ませる
離婚後、役所では多くの手続きを行うこととなるので、まずは役所の手続き関係から済ませていきましょう。役所の窓口で、離婚後の手続きの進め方などについてアドバイスを受けられたり、相談できたりする場合もあります。
やることをリスト化し優先順位を決めて動く
離婚後の手続きは多岐にわたり頭で考えているだけではでどうしても漏れが出てきてしまうので、必要な手続きをリスト化しておくいといいでしょう。
優先順位を決め、手続きが完了したものから消していき、まだ完了せず残っている手続きをすぐに把握できるようにします。リスト管理しておかないと、大切な手続きが漏れていてもらえるべき手当がもらえなかったり、他の手続きに必要な書類を準備するのを忘れ手続き自体が遅れてしまったり、離婚後の生活に弊害を生んでしまう可能性があります。
手続きに必要なものを事前に調べておく
役所に手続きに行く際は、二度手間にならないように、必ず役所のHPで必要持参物を確認しましょう。この記事では、上述のように各手続きに必要となる「持参するもの」をそれぞれご説明してきましたが、あくまで一般的なものであり、必要なものは役所によって異なる場合があります。不明な点は役所のHPや役所に問い合わせするなどして、確実に必要なものを準備していきましょう。
他の手続きで必要となる書類は、役所に行った際にまとめて取っておく
住民票や戸籍謄本などは、子供の氏名変更手続きや運転免許証書き換え手続きなどで必要になるので、住民票異動手続きをした際に一緒に住民票や戸籍謄本を出しておきましょう。度々役所に行く必要がなくなり、離婚後の手続きを効率的に進められます。
どの手続きも、本人確認書類と印鑑を必ず持参する
離婚後役所で行う手続きはたくさんありますが、いずれも本人確認書類が必要となりますので、忘れずに持参しましょう。また、押印が必要な書類も多いので、役所に行く際には必ず印鑑も持参することをおすすめします。
本人確認書類として、1点のみで有効なのは、以下の通りです。
・マイナンバーカード
・写真つき住民基本台帳カード
・運転免許証
・パスポート
・官公署発行の身分証明書(写真付)
など
健康保険証など写真がないものを本人確認書類として使いたい場合は、「健康保険証+年金手帳」など、2点準備しなければいけません。2点必要となるものは、以下の通りです。
・国民健康保険証
・健康保険証
・年金手帳
・共済組合証
など
まとめ
離婚後に気持ちがまだ落ち着いていない状態で、たくさんの手続きを1人で一気にこなさなければならないのは大変ですが、どの手続きも今後の生活のために必要な手続きです。1つ1つ確実に手続きを完了していくことで生活の基盤が整い、スムーズに離婚後の生活をスタートさせることができます。まずはやるべき手続きをリスト化して優先順位を決め、漏れがないように効率良く手続きを行っていきましょう。