離婚届の書き方や注意点、提出時に必要な書類は? 項目別にわかりやすく解説!
目次
離婚届を書く前・出す前に確認するべきこと
離婚届を書く前や出す前に、以下の確認すべき点についてもう一度冷静にチェックしてみましょう。
本当に離婚をしてもいいか
一日でも早く相手と離婚したいばかりに「すぐにでも離婚届を出してしまいたい!」と考える場合もあると思いますが、一時の感情や勢いで離婚届を出してしまうと後々後悔することになりかねません。急いで離婚届を書く前や出す前に、もう一度冷静に「本当に離婚してもいいのか」「離婚条件に納得しているか」「離婚してしまった後も問題なく生活していけるか」を考えてみましょう。
また、離婚届を一度書いてしまったら、離婚に同意していなくても勝手に相手に離婚届を提出されてしまい、離婚が成立してしまうおそれもある点に注意が必要です。後で取り返しのつかない事態になり後悔しないためにも、離婚届を書く前や提出する前に、冷静な気持ちで離婚について考えてみましょう。
親権・養育費など夫婦で話し合って決めたか
子供がいる夫婦は、離婚前に子供の親権や養育費についてしっかりと取り決めたかどうかを確認しましょう。離婚してしまった後では、養育費などについて相手と交渉することは難しくなります。特に養育費は子供の生活に直接関わる大切なものなので、離婚前にしっかりと条件を定めておきましょう。あわせて、面会交流についても頻度や方法などを取り決めておき、離婚後に面会交流をめぐって夫婦間でトラブルになることを避けましょう。
離婚協議書や公正証書は作成したか
離婚時に夫婦間で取り決めた離婚条件は、離婚協議書や公正証書として書面に残すことが大切です。口約束のままでは、忘れてしまったり反故にされてしまったりすることも珍しくありません。
特に離婚後継続して養育費をもらう予定があるなど、金銭関係の取り決めをした場合には、法的効力のある公正証書として残すことをおすすめします。
離婚届を出すタイミング
離婚届けを出すタイミングは、事情によって異なりますので、夫婦で相談したり、自身でもよく考えたりしてから提出しましょう。
ひとり親手当は申請した翌月から対象になることを知っておこう
離婚が成立すると、ひとり親手当の申請をすることができます。ひとり親手当は、毎月定額の手当金が支給されたり、自治体によってさまざまな支援制度があったりと、ひとり親世帯であればぜひ利用したい制度です。ひとり親手当は、申請した翌月から支給対象となる(手当金が受け取れる月は、奇数月に年6回、2ヶ月分ずつ支給)ので、もういつでも離婚届を提出してもいい状況であれば、余裕をもって離婚届けを出し、手当を受け取りたい月の前月までに自治体に申請するようにしてくださいね。
ひとり親手当の申請には、離婚届けを出してから発行してもらえる「離婚受理証明書」が必要になります。自治体の役所は基本的に平日の17時までですが、曜日によっては19時までと延長して窓口で対応してくれる場合もありますよね。役所の延長時間に離婚届けを出しても、離婚受理証明書は夕方17時までしか発行できないなどのケースもあり、その場合は後日「離婚受理証明書」の発行をしてからひとり親手当の申請をすることになります。離婚届けの提出が月末ギリギリや、翌日が土日などの場合、スケジュールに都合がつきにくい場合などが月をまたいでひとり親手当の申請することになってしまうので、事前にスケジュールを確認しておくと安心です。
離婚届はどこでもらえる?
離婚届は、市区町村の役所でもらうか、HPからダウンロードし印刷することにより手に入れることができます。離婚届の書式は全国共通なので、たとえば職場近くの役所など、自分の住んでいる市区町村以外の役所で離婚届をもらっても問題ありません。
HPからダウンロードする場合は、出力用紙サイズがA3と決まっているので、A4サイズまでしか印刷できない家庭用プリンタの場合は、一度自宅にてA4サイズで印刷した後、コンビニなどでA3サイズに印刷し直す必要があります。ただし、HPからダウンロードし印刷した離婚届では受け付けてくれない役所もありますので、事前に離婚届を提出予定の役所が受理可能か確認してみましょう。離婚届は、役所でもらう場合も自分で印刷する場合も、書き間違えた場合に備えて予備分も合わせ複数枚準備しておくと安心です。
離婚届で記載する項目や書き方
離婚届の書き方を項目別に順にご説明します。離婚届に不備があると受理してもらえませんので、確認しながら記入を進めましょう。個々のケースにより記載内容が異なりますので、書くべき内容に迷った場合には役所に問い合わせしてみることをおすすめします。
日付(離婚届を提出する日)
日付には、離婚届を実際に役所に提出する日付を記入します。離婚届を記入した日付ではない点に注意してください。先に日付を書いてしまうと、書いた日付通りに提出できない場合などに修正が必要になるので、日付は先に書いてしまわずに他の項目をすべて書き終えてから最後に記入するようにしましょう。
氏名・生年月日
氏名・生年月日には、夫婦それぞれの氏名と生年月日を記入します。氏名は、離婚後に姓を変更する場合や、調停や審判によりすでに離婚が成立している場合でも、婚姻中の姓で記入することに注意してください。また、氏名は戸籍通りの漢字を使用して記入しましょう。
住所
住所には、住民登録している(住民票のある)住所を記入します。離婚前に別居しているケースでは、転居届が未提出の場合は別居する前の住所を記入し、転居届を提出済みの場合は現住所を記入します。離婚届と同時に転居届を出す場合は、転居届に記入した住所を記入しましょう。
本籍
本籍には、本籍と筆頭者の氏名を婚姻中の夫婦の戸籍謄本にしたがって記入します。筆頭者は、戸籍謄本ではじめに記載してある人を指します。
父母の氏名(父母との続き柄)
父母の氏名には、夫と妻の父母の氏名をそれぞれ記入します。また、あわせて続き柄も記入します。続き柄は、長男・長女や三男・三女以降ならそのまま記入しますが、次男・次女の場合には「二男・二女」と記入することに注意してください。父母の氏名は、たとえ父母がすでに亡くなっていたり離婚していたりする場合にも記入を省かない点に注意しましょう。
離婚の種別
離婚の種別には、今回の離婚に至った方法を選びチェックを入れます。調停離婚や裁判離婚の場合は、成立した日付または確定した日付もあわせて記入します。
婚姻前の氏名に戻る者の本籍
婚姻前の氏名に戻る者の本籍は、夫または妻が、もとの戸籍に戻るのか、新しい戸籍をつくるのか、該当する箇所にチェックを入れ、本籍と筆頭者も記入します。
もし離婚後も婚姻中の氏を続行し名乗りたい場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」は空欄とし、離婚届と一緒に別途「離婚の際に称していた氏を称する届」を記入し提出します。
未成年の子の氏名
未成年の子の氏名には、夫婦に子供がいる場合は「夫が親権を行う子」「妻が親権を行う子」に、該当する子供の氏名を記入します。兄弟がいる場合で、夫と妻が一人ずつ親権を持つ場合は、それぞれ該当する箇所に子供の氏名を記入し、兄弟全員の親権を一方の親が持つ場合は、枠の中に子供全員の名前を記入します。未成年の子供がいる場合、この欄が空欄のままで親権者の決定がされていない場合には、離婚届は受理されないので注意しましょう。
同居の期間
同居の期間の「同居を始めたとき」には、同居を始めた日付か、結婚式を挙げた日付のいずれか早い方を記入します。「別居したとき」には、別居した日付を記入し、別居していない場合は空欄のままにします。
別居する前の住所
別居する前の住所には、別居前に夫婦で一緒に住んでいたときの住所を記入し、別居していない場合は空欄のままにします。
別居する前の世帯の主な仕事
別居する前の世帯の主な仕事には、夫婦で収入が多かった方について該当する箇所にチェックを入れます。
夫婦の職業
夫婦の職業には、夫婦それぞれの職業を記入します。夫婦の職業欄は、国勢調査が行われる年に離婚届を提出する場合だけ記入しますが、強制ではありません。国勢調査は、西暦の下一桁に0か5が付く年に、5年ごとに行われます。
その他
その他には、たとえば父母と養子縁組した場合、養父母の氏名を記入します。その他の欄に書く内容は個々の状況により異なりますので、書くべき内容について役所の窓口でアドバイスを受けることをおすすめします。
届出人
届出人には、夫婦の氏名を直筆で署名し、あわせて押印もします。代筆では認められません。また、印鑑は実印でなく認印でも大丈夫ですが、ゴム印やシャチハタ印では認められない点に注意が必要です。
証人の署名・押印
証人の署名・押印には、協議離婚で離婚する場合のみ証人の署名と押印をしてもらいます。証人の署名・押印がなければ離婚届は受理されません。証人は20歳以上の2名が必要です。友人・知人夫婦に証人をお願いしたい場合は、同じ印鑑では認められないので、夫婦で違う印鑑を使って押印してもらうようにしてください。
面会交流・養育費の分担(欄外)
欄外にある面会交流や養育費の分担については、該当する箇所にチェックを入れましょう。チェックがなくても離婚届は受理されますが、市区町村によっては、役所で面会交流と養育費について確認される場合もあるので、チェックを入れておいた方がいいでしょう。
連絡先(欄外)
欄外にある連絡先には、離婚届に不備があった場合などに役所から連絡がつくように、平日の日中連絡が取れる電話番号を記入します。連絡先には、夫婦双方の電話番号を記入しておいた方が無難です。
離婚届を書き間違えた時の修正方法は? 修正液はだめ?
離婚届を書き間違えてしまった場合、修正液や修正テープを使って修正しても認められません。正しい修正方法としては、間違えた箇所に二重線を引いて正しい内容を記載し、欄外に署名押印欄に使ったものと同じ印鑑で捨て印を押しておきます。捨て印を押しておくことにより、離婚届に不備があった場合に軽微なものあれば役所で修正してくれるので、役所に出向く手間を省けます。捨て印は、夫婦と証人2人の合計4人分押しておきましょう。
ただし、確かな訂正が必要となる「新しい本籍」「親権者」「署名」の欄で間違えてしまった場合には、間違えた箇所に二重線を引いて訂正印を押し、正しく内容を記載します。訂正印については、間違えた箇所すべてに押したとしても問題ありません。間違えた箇所が多くても、正しい方法で修正してあれば離婚届は受理してもらえます。
離婚届を出す時に必要な書類は?
離婚届と一緒に提出する必要書類は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のそれぞれによって違います。以下で順番にご説明します。
協議離婚の場合
協議離婚の場合は、基本的に離婚届以外に一緒に提出する必要書類はありません。ただし、本人確認のために運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要となる場合もありますので、忘れずに持参しましょう。
調停離婚の場合
調停離婚の場合には、「戸籍謄本、申立人の印鑑、調停調書の謄本」3つが必要になります。戸籍謄本は、本籍がある市区町村の役所に離婚届を提出する場合には必要ありません。
また、調停調書の場合、離婚届に相手の署名・押印は必要ありません。調停調書の場合には、調停成立の日から10日以内に離婚届を提出する必要があり、10日を超えてしまうと罰金等が課される場合があるので注意しましょう。
裁判離婚の場合
裁判離婚の場合は、「戸籍謄本、申立人の印鑑、調停調書の謄本、判決確定証明書」の4つが必要になります。協議離婚の場合と同様に、戸籍謄本は、本籍がある市区町村の役所に離婚届を提出する場合には不要で、離婚届に相手の署名押印も必要ありません。
判決確定証明書は、判決確定後に判決確定証明申請書を裁判所に提出して取得します。裁判離婚の場合も、判決確定の日から10日以内に離婚届を提出する必要があり、10日を超えてしまうと罰金等が課される場合があることに注意が必要です。
離婚届の提出方法は?
離婚届の提出方法は、役所に持参しても郵送してもどちらでも大丈夫です。また、離婚する本人たちの代わりに、第三者に離婚届を提出してもらうことも可能です。離婚届の提出先は、夫婦の本籍地か、所在地の市区町村の役所(戸籍課)になります。離婚届は、夜間・休日祝日でも提出することができますが、役所により受付場所が異なりますので、事前に提出しようとする役所のHPなどで確認してみましょう。
離婚届が受理されないこともあるの?
離婚届を提出しても、役所で離婚届を受理してもらえないケースは以下の4つです。
- 子供の親権を父母どちらが持つか決まっていない場合
- 証人の署名・押印がない場合
- 相手が合意なく勝手に離婚届を提出した場合
- 相手が離婚届不受理申出書を提出済みで、離婚届不受理申出書の取り下げを行っていなかった場合
親権を持つ未成年の子の氏名欄と、証人の署名・押印欄が空欄のままにならないよう注意してください。「離婚届不受理申出書」は、合意なく相手が勝手に離婚届を出した場合に、受理されてしまうことを防ぐ書類ですが、取り下げないままでいると離婚届を受理してもらえません。相手か自分のどちらかが離婚届不受理申出書を提出していて離婚届を提出したい場合には、2人で一緒に離婚届を提出に行くか、申出人が離婚届不受理申出書の取り下げ手続きを取るか、申出人が役所に離婚届を提出に行く必要があります。
離婚してから再婚してもいい期間は?
離婚後、女性の場合は子供が誰の子供なのかをはっきりさせる観点から、離婚後100日の再婚禁止期間が設けられています。以前は6ヶ月の再婚禁止期間が設けられていましたが、2016年の民法改正により100日に短縮されました。ただし、100日という期間には例外があり、元夫との再婚の場合や、妊娠不可の年齢である場合などには、100日以内でも再婚することが可能です。
まとめ
離婚届は漏れなく記載・押印し、間違えた箇所がある場合には正しく修正していなければ受理してもらえません。離婚届を書く際には、ぜひご説明した離婚届の書き方や修正方法を参考にしてみてくださいね。離婚届を書く中で不明点がでてきた場合は、役所に問い合わせしてみるのをおすすめします。あわてて離婚届を出して不受理になってしまわないように、提出する前にもう一度、内容に不備がないか、一緒に提出する必要書類は準備できているか、しっかりと確認するようにしましょう。