アクティブラーニングとは? 保育園・幼稚園での実例も紹介
アクティブラーニングとは?
これまでの日本の教育は教師が主体で、受け手となる子供が一方的に知識や情報を伝達されるという形でした。しかしグローバル化が進む中で「課題について自ら考え、解決に向けて行動できる人材」の必要性が重要視されるようになり、教育内容を大きく見直すこととなります。そんな中で注目されている「アクティブラーニング」とは、一体どんな学習法なのでしょうか。
主体的・対話的に深い学びを得ること
「アクティブ」と聞くと、「活発で積極的」というイメージですよね。「アクティブラーニング」とは、子供が「主体的、対話的な深い学び」を得られるように、「何を学ぶか」ではなく「どのように学ぶか」という学び方の部分に注目した学習法です。「アクティブ」という言葉の通り、子供自身が積極的に学ぶ楽しさを理解し、興味のあることを自分なりに学びながら、課題を自己解決できる力や姿勢を身につけさせることを目標としています。「主体的、対話的な深い学び」のポイントは、以下の3点です。
「主体的な学び」の視点
周囲の環境に興味や関心を持って積極的に働きかけ、見通しを持って取り組み、自らの遊びを振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
「対話的な学び」の視点
他者との関わりの中で、自分の思いや考えを表現し、伝え合い、考えを出し合い、協力して自らの考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
「深い学び」の視点
直接的・具体的な体験の中で、子供なりのやり方、ペースで試行錯誤を繰り返し、生活を意味のあるものとしてとらえる「深い学び」が実現できているか。
資料2 教育課程企画特別部会 論点整理(案)補足資料(4)P184
新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-
実践方法はさまざま
子供の「主体的、対話的な深い学び」を実現させるために、アクティブラーニングにはさまざまな技法があります。その中でも下記の3つの方法は教育現場によく取り入れられているので、実際に体験したことがあるパパママもいるのではないでしょうか。
PBL
「PBL」はProject Based Learningの略称で、自分で問題を見つけて解決する能力を養う学習方法です。問題解決型学習とも呼ばれています。PBLではまず自分たちで学習テーマを決め、その後グループで話し合って解決策を練り、自主学習を経て学んだ知識で問題にアプローチし、学習内容をまとめるという流れです。PBLを早い段階から実践することで、子供は「課題を解決するためには学習が必要だ」ということが理解できるので、学習に対する積極的な姿勢を養うことに効果的だといえます。
ジグソー法
「ジグソー法」は子供同士がお互いに教え合いながら、学習を進めていく方法です。ジグソー法では教師がテーマを設定し、そのテーマに関する別々の資料を個別に配布します。同じ資料を担当する人同士で話し合いをした後、ほかの資料を担当した人とグループで話し合い、テーマ全体への理解を深め、課題を解決していくという流れです。ジグソー法ではほかの人と意見交換することで、自分だけではわからなかった点や自分では思いつかなかった解決方法に出会うことができ、客観的な視点の大切さを学べます。
フィールドワーク
「フィールドワーク」は、調査対象が存在する現地を実際に訪れて調査する学習方法です。好奇心旺盛な幼児や小学校低学年の子供は特に楽しめるでしょう。教室での授業では教科書や教師の言葉から知識や情報を得ますが、現地で実際に学習対象を目や耳で確認することによってより記憶に印象づけられ、効率的に理解を深められる場合があります。調査後は得た情報をグループごとにまとめ、発表し、意見を交換するなどして学習を深めると効果的です。
アクティブラーニングのメリットと身につく力
実際にアクティブラーニングを行うことで、どんなメリットが得られるのでしょうか。子供が主体となって積極的に参加する体験型授業であるアクティブラーニングは、グループワークを通じた「正解のない」議論がふんだんに盛り込まれています。それにより、1つのテーマに対してたくさんの答えや考え方を知ることができ、また周りの人との対話によって協調性も育まれていくのです。授業で一方的に聞いた内容よりも、アクティブラーニングでほかの人と一緒に考え、意見を交換し合った内容の方がより理解が深まり、記憶に残るでしょう。またアクティブラーニングを行う中で、下記の3つの力が身につくと期待されています。
- 自ら進んで学ぶ能力
- 周りの人と協力し合う力
- 新しい課題に気づき、解決する力
子供たち自身が中心となって授業を進めるので、自然に主体性が身につきます。
周りの人と関わり、協力し合うことで、協調性が育まれます。
ほかの人の意見から新しい価値観や考えを知ることで、多くの視点から物事を考えられるようになると同時に、問題解決能力を養えます。
次のページでは、アクティブラーニングで注目されているのは「幼児期」、幼稚園・保育園で行われたアクティブラーニング事例を紹介します。