子宮頸がんとは? 子供の子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種は必要?

子宮頸がん(しきゅうけいがん)とは?

子宮頸がん(しきゅうけいがん)とは?
子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があり、子宮の入口付近の子宮頸部と呼ばれる場所からがんが発生するのが「子宮頸がん」です。婦人科の診察で早期発見しやすいですが進行すると治療が難しいとされています。

子宮頸がんの原因は?

患者の多くが「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染が大きく関わっています。主な感染源は性交渉で、性行為をすると多くの女性が感染してしまう可能性がありますが、感染してもほとんどの感染者ではウイルスが自然に排除されます。排出されずに感染し続けると、最終的にがんに変化してしまうことがあります。

子宮頸がんの症状は?

がんが進行すると、生理以外の出血、性行為時の出血、茶色や水っぽいおりもの、おりものの増加などが見られ、さらにがん化が進むと腰に痛みが出たり尿に血が混じるようになったりします。初期から、がんの前段階である異形成の時期までほとんど自覚症状がなく、おりものや生理時にも異常は認められません。がん化するまでに数年かけてゆっくり進行します。

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子宮頸がんの罹患率と死亡率

国内の子宮頸がん患者は毎年約10,000人と報告されており、死亡数は約3000人に上ります。子宮頸がんになる年齢のピークは20代後半から40代と、若い年齢層の患者が多いのが特徴です。増加の一途だった死亡数は2015年以降減少しましたが、2017年から再び増加傾向にあります。

子宮頸がん予防ワクチンQ&A|厚生労働省

子宮頸がんを予防するには?

子宮頸がんを予防するには?

子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルスの感染が予防できます。HPVワクチンはヒトパピローマウイルスの感染を予防するものになるため、初めての性交渉を経験する前に接種することが効果的です。

日本では20代の若い世代から発症する可能性が高いことから、理想の予防方法としてはHPVワクチンの接種と、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を2年に1度に受けることです。ワクチン接種に関する質問は各自治体の予防接種担当窓口で受け付けています。

子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために|日本産科婦人科学会

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)とは?

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)とは?
現在、日本で承認されているHPVワクチンは、2価と4価の2種類です。2価ワクチン「サーバリックス」はHPV-16型と18型の2つの型に対するワクチンで、4価「ガーダシル」はHPV-6型、11型、16型と18型の4つの型に対応しています。どちらのワクチンも数ある種類のウイルスの中から、子宮頸がんの主な原因となる2つもしくは4つの型のウイルスを予防します。2013年度から定期接種が始まりました。

子宮頸がん予防ワクチン (サーバリックス®)接種予診票
(ガーダシル)接種予診票

子宮頸がん予防ワクチンの接種時期と接種回数

推奨年齢は、小学6年生から高校1年生相当の女子です。3回の接種が必要になります。1回目は中学1年生、1~2ヶ月後に2回目、初回接種の6ヶ月後に3回目をするのが標準的な接種方法です。

子宮頸がん予防ワクチンの効果

徐々にワクチン接種による結果の研究報告がされています。特に20代の若い世代のワクチン接種者と非接種者では、接種者の方がHPV-16型と18型ウイルスの感染数や前がん病変が見つかる割合が低いまたは減少していることが確認されました。HPVワクチンの予防効果は90%以上の結果が出ています。

子宮頸がん予防ワクチン接種後の副反応は?

具体的なHPVワクチンの副反応は以下の通りです。

2価ワクチン「サーバリックス」 4価ワクチン「ガーダシル」 発生頻度
痒み、注射部位の痛み・腫れ、腹痛、筋痛・関節痛、頭痛 他 注射部位の痛み・腫れ 他 10%以上
蕁麻疹、めまい、発熱 他 注射部位の痒み・出血、頭痛、発熱 他 1~10%未満
注射部位の知覚異常、しびれ感、全身の脱力 手足の痛み、腹痛 他 1%未満
手足の痛み、失神 他 疲労感、失神、筋痛・関節痛 他 頻度不明

子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆さまへ|厚生労働省

子宮頸がん予防ワクチン接種後に注意することは?

子宮頸がん予防ワクチン接種後に注意することは?
予防接種など注射に対する極度の恐怖や緊張、興奮、強い痛みをきっかけに、脈拍がゆっくりになったり、血圧が下がったり、失神したりするケースが特に思春期の若い世代に多く見られます。HPVワクチンでもこれらの症状が出ることがあるので、接種後30分の安静と保護者の付き添いが必要です

子宮頸がん予防ワクチンの安全性

国内のこれまでの分析では、HPVワクチンを接種することで生じる接種部位の痛みや腫れ、赤みの症状は範囲が狭く短期的とあります。この局所症状を経験している接種者は約8割です。世界中のデータを長期で分析・調査しているWHOでは、HPVワクチンの大きな安全性の問題は確認できないと発表しています。

接種後体調が悪くなった場合

HPVワクチン接種との強い因果関係が認められていないのですが、接種後に「アナフィラキシー」や手足のしびれ・筋力の低下などの症状が出る「ギラン・バレー症候群」などの重篤な症状が報告されています。

専門家からなる国の審査会による審議で副反応がワクチンとの関係にあると認められると、法に基づき重篤な症状に対する補償を受けられます。補償を受けられる条件は、医療機関での治療が必要になった場合や日常生活に支障が出る障害が残るような健康被害が生じた場合などです。症状が出た場合は、HPVワクチンを接種した医療機関に相談し、保健所や自治体の予防接種担当窓口へ連絡してください。

厚生労働省が子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的な呼びかけを中止

厚生労働省が子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的な呼びかけを中止
日本では2010年にHPVワクチン接種の公費助成が開始しました。2013年4月から定期接種にしましたが、ワクチン接種後に慢性疼痛や失神、運動障害などの症状が報告されたため、2ヶ月後の6月に接種の積極的勧奨が中止されました。今も厚生労働省によるHPVワクチンの積極的な呼びかけは行われていませんが、定期摂取として公費助成の対象にはなっています

日本産科婦人科学会が告知活動を支持

日本産科婦人科学会が告知活動を支持
産科学と婦人科学の発展と福祉に貢献することを目的とした、医学系学術団体である公益社団法人日本産科婦人科学会では、令和元年11月に「日本産科婦人科学会は自治体が行うHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)が定期接種対象ワクチンであることの告知活動を強く支持します」と発表しました。

平成28年に厚生労働省研究班(祖父江班)の調査によると、「HPVワクチンの接種歴がない人にも、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する人が一定数存在した」としています。

資料4 全国疫学調査

子供に子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は必要?

子供に子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は必要?
HPVワクチンは子宮頸がんの50~70%にもおよぶ原因ウイルスに対応しており、唯一がんを予防できるワクチンです。ウイルスに感染する前の性行為未経験者のワクチン接種と、20歳以上の全ての女性が定期検診を受診すること、この2つで子宮頸がんの予防と早期発見、治療に期待できます

WHOを始め、国内外の多くの関係専門機関は、研究やHPVワクチン接種に関する新しい見解などを発表しており情報が常に更新されるので、家族内でも新しい情報をチェックするようにしてください。特に女の子がいる家庭では、子供が赤ちゃんの頃から正しい情報と知識を得て、パパママを中心に家族で話し合うようにしましょう。

岡山県が子宮頸がん予防ワクチンを啓発

2019年5月、岡山県は県内の産婦人科医と協力しHPVワクチン接種についての情報公開、情報提供を始めました。全国に先駆けての活動で、ワクチン接種の推奨ではなく子宮頸がん予防方法の選択肢の一つとしての啓発で、リーフレットや動画の作成、イベントなどでのブース設置などを行っています。

岡山県 子宮頸がんリーフレット

国内外の子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の効果は?

国内外の子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の効果は?
日本より7~8年早くHPVワクチンを導入した国々の研究結果は、日本のワクチン予防において大いに参考になります。

オーストラリア・イギリス・米国・北欧は?

早期にHPVワクチンを国のプログラムとして取り入れた国は、オーストラリア・イギリス・米国・北欧などです。日本がワクチン接種を始める前の研究データが発表されており、子宮頸がんの兆候である「前がん病変」の診断数が大きく減少したとの報告があります。HPVワクチンと子宮頸がん検診が世界で最も成功しているオーストラリアでは、2028年には新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるというシミュレーション結果が出ました。

日本は?

日本でも研究は進み、少しずつHPVワクチンによる有意義な結果報告が出てきています。しかし積極的な子宮頸がん予防ワクチンの告知をしていないため、接種率は以前低く、WHOからも改善要求が何度も出されている状況です。現状のままいくと世界の有効な研究結果から大きく離れていく心配もされています。

大人も子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を摂取できる?

大人も子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を摂取できる?
大人でも接種できます。対象は10~40歳未満の女性ですが、公費助成の対象時期ではない年齢の女性はお金がかかります。ワクチン接種費用も含め、各病院で対応が異なりますので問い合わせましょう

注意事項として、性交渉ですでにウイルスに感染している場合はワクチンの効果は期待できないこと、19歳未満の未成年者が接種する場合は保護者同伴、もしくは同意書が必要なことがあげられます。HPVは男性も感染するので希望者は接種可能ですが、男性は年齢にかかわらず費用が発生します。

まとめ

まとめ
HPVワクチンに限りませんが、医療は研究が進みデータが蓄積され新しい情報が毎年更新されています。家族で話し合い家族にとって最良の判断ができるように、あらゆる方面から情報を得て、HPVワクチンの有効性とリスクを理解することが大切です。

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はいチーズ!clip編集部

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はいチーズ!clip編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Facebook、Twiiterなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!